ときどき、文章をほめていただく。
とっても嬉しい。
子供の頃から、とにかく書くことが好きだから。
だけど同時に、
「まあ、プロ(元記者)だからね」
と思ったりする。
それでお給料をいただいていたのに、
下手っぴだったら、しょうもないから。
でも、私の文章を好きだと言ってくれる方々は、
スキルの部分じゃなくて、
文章ににじみ出る、なんらかのカラーについて、
良いと言ってくれてるんじゃないかと、
勝手にそう思っている。
だから、やっぱり嬉しい。
昔から、気をつけていることが一つある。
それは、自分にとって「大切な文章」を書く前や、書いている間は、
好きな作家の文章を読まない、ということ。
文章のカラーというのは、
その書き手が上手なほど、そして書き手に対する愛着が強いほど、
あっというまに伝染する。
いろんな人の文章を見ていると、
「いま誰々の影響を受けているんだな」
ということが、実は非常にわかりやすい。
村上春樹を読んだ直後の人は、どこかハルキ調になっているし、
コーチやメンターの、コピーになっている人も多い。
特に、現役の記者だったときは、
自分の文章に、他人の影響が入り込まないように、
そのわずかな差違も生まれないように、
気を遣っていたものだった。
これは何も文章だけじゃなくて、
物事に対する姿勢や考え方、生き方でも同じことが言えると思う。
人は、誰かの影響を強く受けると、知らず知らずその人の真似をしてしまい、
それを自分の真実であると、いつのまにか思ってしまうところがある。
最初は、コピーから入るのは、とてもいい方法だと思う。
でも、それはあくまでコピーであることを、
ちゃんと自分が知っているのと、知らないのとでは、
その後が違ってくる。
「自分のモノ」になったときには必ず、
そこに何らかのオリジナリティが生まれる。
あなたにしか語れない、あなたからしかにじみ出ない、
独特のカラーが含まれてくる。
私は、そういうカラーの含まれた文章がとても好きだし、
そういう生き方をしている人を、素敵だと思うし、
自分も、そうありたいと願っている。
この記事へのコメントはありません。