おすすめ本:『生存する意識』〜全く動かないあの人は“生きている”のか?

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久しぶりに、ものすごく面白い本と出会いました。
面白すぎて、2冊続けても止まらなかった。
順に紹介していきます。
まずは1冊目。

9月18日第一刷発行、出版されたばかりの
『生存する意識』エイドリアン・オーウェン著:みすず書房刊

原著は
Adrian Owen,
INTO THE GRAY ZONE:A Neuroscientist Explores the Border Between Life and Death,
2017

指一本動かせず、瞬きひとつできず
何の呼びかけにも応じない、ただ横たわっているだけの患者たち。
彼らは、何年もかけて検証された信頼のおける医学的テストの後に
「植物状態」と診断される。

「目覚めているけれど何も認識されていない」と考えられ
言われたことを理解出来ず、記憶や思考、感情を持たない。
喜びも痛みも感じられないのだと。

はたして、その人は「生きている」のか? それとも……。

ある病室に、“そういう患者”が一人、ベッドに横になっている。
医者から、一生24時間体制の看護が必要だと告げられ
生命維持装置を外し、やんわりと死なせてあげることをすすめられる家族。
と、その患者、エイミー。

私なら、あなたなら、そんなときどうするだろうか。
先の見えない看護を続けるか、
ただ装置につながれているだけで、もうそこに「彼女はいない」として、
外すことを選ぶのか。

神経科学者のエイドリアンは、その状況に対して信じられない事実を突きつけていく。

エイミーはただ生きているだけでなく、完全に意識があることがわかった。
彼女はまわりで交わされる会話を一つ残らず耳にし
病室に入ってくる人を全員認知し、
自分に代わって下される決定をすべて熱心に聴いていた。

ところが、まったく筋肉を動かせないため、
「私は今もここにいます。まだ死んでいません!」
と周囲に告げるすべがなかったのだ。

 
植物状態に陥った人の15〜20%は
あらゆる外部刺激にまったく反応しないにもかかわらず
完全に「意識がある」ということを発見した
神経科学者エイドリアン・オーウェンの軌跡を描いたノンフィクション。

1997年から何の気なしに始まった彼の挑戦は
様々な巡り合わせや時の運に導かれるように
コンピューターサイエンスの発展とともに
その道を突き進んでいく。

植物状態でありながら、fMRIによるスキャンとテストによって
エイドリアンによって「生きている」と判断された人、

あるいはフアンのように、脳が壊滅的なダメージを受け
あらゆる刺激のテストに対して脳が沈黙を続け、
「意識はまったくない」と判断されながら
実はすべてを認識し、矛盾に満ちた驚くべき回復を遂げた人。

私は読みながら「すごい」と声に出さずにはいられず
畏敬の念にうたれると同時に
何度かぞっとすることもあった。

(もしかすると、本当は「生きている」人が
死んだものとして、生命維持装置を外され
餓死してきたのではないだろうか?
本人の願いとは何の関係もなく)

私たちが「生きている」というとき
その定義は何なのか。

「意識がある」とはどういうことなのか。

脳は私たちに何を伝えることができ、
どうすればそのメッセージを受け取れるのか。

脳神経科学の最先端をいく著者が
それらに対して真っ向から挑み、悩み、寄り添っていく。

その様は、いまの私にとって「何が大切か」ということを
教えてくれるようでもあった。

さらに最終章では、20年後の世界が確信をもって予言されている。

彼には、はっきりとそれが「みえる」のだろう。

手の平サイズのスーパーコンピュータによって
テレパシーが可能となり
「他人の考えていることがわかる」世界がーー

ぜひ時間を忘れて読みふけってください。

『生存する意識』
https://amzn.to/2DtQFNX

みすず書房は、これまでも骨太の読み応えのある本を出版している。

出版不況となって久しく
ダイレクトマーケティングのなれの果てのような書籍が居並ぶけれど
みすず書房さんには、これからもぜひ読み応えのある良書を出版してほしい。
と願います。

 

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パーソナルコーチ・青野ゆかりのブログです。心理学、無意識、潜在意識の法則、共感覚が得意分野です。 「自分やあの人は、なぜあんな言動をとるのか?」 いつもそんなことを分析しています。 ときどき、ちょっと不思議なアドバイスもします。 共感覚による「エネルギーマネジメント」についてはコチラをご覧ください。 http://efficaciouslife.jp/menu.html

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